個性か発達障害か 「食事をするのが異様に遅い」

我が家には、発達障害4歳の双子がいる。

親としては、双子兄、まひろには特に問題を感じなかったが、双子弟、まそらには、違和感をおぼえることが多々あった。

 

●まそらに感じた違和感の例

①頭を床などに打ち付ける

②手先がとても不器用

③食事をするのが異様に遅い

④コミュニケーションが取りにくい(呼びかけに反応しないなど)

⑤言葉の発達がまひろと比べて遅い

⑥癇癪がひどい(気持ちの切り替えができない)

⑦暴力的

⑧こだわりや執着が強い

⑨その他の変わった行動

などだ。

 

 

今回は、③の「食事をするのが異様に遅い」について記載する。

 

●食事に1時間半かかる

まそらの食事は、「とにかく遅い」。

0歳児でミルクだけを飲んでいた頃から、双子兄、まひろより随分飲む速度が遅かった。飲む量についても、まひろより少なかった。そして、よく吐いた。

 

離乳食が始まり、少しずつ食べ物の種類や量が増えていくと、毎食なんと「1時間半~2時間」もかかるようになった。

睡眠不足で疲れている身としては、本当にイライラする。ミルクを与えるだけでも時間がかかるのに、さらに、料理をし、与えて、洗い物をし、オムツを換える・・・。本当に「辛い」以外の何物でもなかった。やることが増えて、授乳だけの頃よりしんどく感じることも多々あった。

 

 

●食事の様子

・食事への意欲が乏しいので、自分からは食べようとしない。

・手先が不器用で、3歳になってもスプーンが使えない上に、つかみ食べもしない(手が汚れるのが嫌)。

10分に1度しか口を開けないことも日常的にあった。噛まずにずっと口の中に入れている。30分でやっと3口食べるというようなことも。

・少しかたくて、飲み込めないものは10分でも20分でも口の中でもぐもぐし続け、結局吐き出す。

・リンゴはすりおろさないと食べない。

・オレンジは薄皮をむかないと食べない。

 

スプーンやフォーク、箸などを使わせようと頑張ったりもしたが、こちらが疲れてしまい、結局、親が全面的に食べさせるようになった。

コップ飲みも、育児書に従って、練習を始めたが、早々に断念した。2歳の初めでやっと乳首のついた哺乳瓶の使用をやめ、ストローマグでミルクを飲むようになった。コップでそれなりに飲めるようになったのは3歳の終わり頃だ。

 

 

離乳食の用意と、食事の世話に時間がかかり疲れ果てる

離乳食の用意だが、ストックを作り、冷凍する方法を取った。

例えば、ニンジン。茹でて、最初はペースト状に、次いで、少しずつ固形にしていく。とにかく柔らかく茹でる。最初はコトコト長時間茹でていたが、時短のために圧力鍋を買った。それでも、切って、加熱して、重さを計って小分けにして、片づけをして・・・、1時間やそこらでは終わらない。要領が悪い部分もあるだろうが、ストック作りには今でも23時間はかかる。

 

食事の際は、冷凍したストックをいくつか解凍して、温めて与えるのだが、「レンジでしっかり加熱殺菌を」と、ものの本には書いてあるので、「しっかり加熱」することになる。そうすると、子どもが食べられる温度に冷めるまで、結構待つことになる。

離乳食の用意だけで、30分。

食べるのに、1時間半。

ミルクを与え、大暴れされながらの歯磨き、洗い物などの片づけと、オムツ交換で、軽く1時間。

最低でも、計3時間の仕事だ。それが13回で9時間。

他に、入浴もさせないといけないし、もちろん自分も入浴しないといけないし、自分も食事を摂らなければならない・・・。

子どもが風邪などひくと、病院に連れていくことになり、余計に時間を取られる。そして、嫌がって抵抗する子どもに、薬を与えるという手間も増える。薬を飲ませるのに20分かかることもざらにあった。下痢や嘔吐で服やシーツが汚れれば、手洗いの手間も増える。病気をすると本当に憂鬱だった。

 

 

●キッチンに立っているか、子どもに食事を与えているかのどちらか

生活は、キッチンに立っているか、子どもに食事を与えているかのどちらかになった。

6時半に起きて、食事を用意し、7時に食べさせ始め、大体10時半頃に片づけが終わる。朝食は1日の中で、一番食べるのに時間がかかる。

食後、絵本を読んでやり、ストックを作っているとすぐに12時になる。

昼食を用意し、12時半頃に食べさせ始め、片づけが終わるのが14時半~15時頃。

ストックの続きを作り、自分たちの食事も作って、あっという間に、18時。

また、食事の用意をして、食べさせて、片づけて、お風呂に入れて・・・21時半。

昼寝の状況によっては、子どもたちは夜中の1時になっても寝ない。子どもたちが寝てから、自分たちの食事や入浴、洗濯・・・。

そして、朝6時半に起きる。

私自身は11食生活になった。「何か飲み物でも飲もう」と思うのが大体19時頃。朝起きてから19時頃まで、何も口にしないというのが普通になった。子どもと遊んでやることはほとんどなく、ずっとキッチンで料理や洗い物をしていた。子どもに食事を与えている最中も、へとへとで基本的に無言。「はやく、はやく」ばかり思っていた。

 

 

保健師さんや栄養士さんに「食事の時間を30分で切り上げては?」と言われるが・・・

保健師さんに「30分くらいで切り上げては?」と言われたことがある。そんなことを書いている本もあったし、栄養士さんにも同じように「30分で切り上げて、おやつで不足分を補えばいい」と言われたこともあった。

しかし、おやつなんて与えれば、お腹が空かず、次の食事に響くことは明白だ。しかも、おやつ作りの時間まで必要となり、与える時間も必要となれば、さらに、状況は厳しいものになる。私の場合、現実的ではなかった。4歳になった今でもおやつは与えていない。

 

10分に1回しか口を開けないようなまそらの食事を、30分で切り上げるなんてできるわけがない。30分では3口しか食べない。しっかり身体を作らなければならない子どもがそんなことでいいとはとても思えなかった。厚生労働省が推奨している量は、炭水化物でも、タンパク質でも、野菜でも・・・しっかり摂らせたかった。食べきらせたいとの思いで、3時間かかっても食べ終わるまで食事に付き合った。

毎日、泣きたいくらい、辛かった。そう子育ては「辛く、苦しい」ものでしかなかった。こんな生活がいつまで続くのだろうと毎日思った。前世で何か悪いことでもして、何か罰でも受けているのだろうか?疲弊した精神はそんな非科学的なことまで考え始めるようになったのだった。

 

 

●世話に疲れ果て、育児を義務のように感じ、怒鳴ってばかりの毎日

動き回るようになり、危なっかしいので目も離せず、起きている時間もどんどん長くなっていく子供たち・・・。子どもたちが寝ると、自分も少し眠れたりもするが、1日に2回だったお昼寝は、1回となり、時間も短くなっていった。離乳食が3回になった頃から、食事の世話に時間がどんどん取られるようになり、散歩に連れて出ることができなくなった。時間だけではなく、体力も、気力もなかった。

 

食事の世話は、2歳頃までは本当に苦しく、辛く、しんどかった。3歳頃から少しずつ楽になっていったように思うが、当時、育児は義務でしかなく、「かわいい」とか「愛おしい」とか、、、そんなことを思える状況ではなかった。虐待する親の気持ちに共感できたりもして・・・、とにかく「〇〇しなければならない」ばかり思っていた。

「ご飯を作らなければならない」

「ご飯を食べさせなければならない」

「ミルクを与えなければならない」

「オムツを換えなければならない」

「食器を洗わなければならない」

「絵本を読まなければならない」

「ならない」「ならない」「ならない」・・・・・。

 

そして、いつも子どもたちに怒鳴ってばかりいた。本当に1日中怒鳴り散らしていた。「早く食べなさい」「早く飲みなさい」「早く寝なさい」「ご馳走様を言いなさい」「おもちゃを片づけなさい」「〇〇をするのはやめなさい」・・・、言葉もよく通じない子ども相手に、発狂寸前だ。大声で叫ぶこともあった。そして、例えば、吐しゃ物まみれの布団を前に、例えば、下痢のウンチまみれの服を前に、例えば、お皿をひっくり返されて、ぐちゃぐちゃになったテーブルや床を前に、涙がどっと溢れ、声を上げて泣いたこともよくあった。

 

今、思う。

「どうして、共働きでないと、保育所に預けられないのか・・・?」

甘えかもしれないが、双子で、しかも発達障害だ。自分の親も夫の親も頼れず、日中は完全に1人で世話をしなければならない。公的な助けが少しはあっても・・・と思ってしまう。しかし、居住地域の自治体は一時保育さえ行っていないとのことで、自分が発熱していても、グラグラしながら離乳食を作った。

毎日、夫以外の誰とも会わず、話さず、夫の休日以外は家から一歩も出ず、やりたいと思うことの大半はできない。仕事をしたいとの思いも強くあったが、育児だけでへとへとな状況で、できるはずもなく、展望もなく、絶望的なほどの閉塞感でイライラするばかりだ。

虐待のリスクは、本当にすぐそばにあったと思う。「叩いては駄目だ」といくら頭で思っても、疲れ果て、精神状態が平常でないと、自分を制御できなくなることもあるのではないだろうか。

 

 

4歳になって

相変わらず、食事には時間がかかる。朝食だと2時間程。6時過ぎから食べ始め、ミルクを飲み終わるのは大体8時頃だ。昼と夜は比較的スムーズで、速ければ1時間程だろうか。朝は園に連れて行かなければならないので、一番イライラする時間だ。「はやく、はやく」と怒鳴り散らしながらの朝食。決して楽しいものではない。そして、家を出る時には、もうすでにぐったりしている。肉体的にも精神的にも本当によくないと思う。ドバーっとミルクをこぼされ、振り回した毛布でお皿をひっくり返され・・・毎日血管がキレそうだ。いつまで続くのだろうか・・・この生活は。