特別支援学級から通常学級に向けて①~学校に要望する~

我が家には、小学1年生の双子弟、まそらがいる。

彼は、ADHD+自閉症スペクトラム障害で、

現在、特別支援学級の情緒級に籍を置いている。

 

さて、様々なトラブルに見舞われた特別支援学級での日々。

次年度は通常学級に移ることが決定した。

既に、先の記事にても触れてはいるが、今回は昨年12月の2回目の面談内容に焦点を当てる。

 

次年度に向けて、学校側には色々と要望したいことがあった。

この面談では、先立って相談させていただいた専門家の方のアドバイスや、書籍に書いてある事柄を自分の意見のように伝えさせてもらった。

 

アドバイス内容を勝手に記事にしてもよいものかと思いつつも、要点のみ記載していく。場合によっては、本記事は削除してしまうかもしれない。

 

●担任の先生より、次年度に向けてのお話

繰り返すが、12月の終わり、特別支援学級の担任と、特別支援教育の責任者先生の同席のもと面談が行われた。

 

本面談では、まずはこちらから特別支援学級で受ける教科について説明を求めた。

先生方からは、居住地域の教育委員会にて、

「半分以上を特別支援学級で過ごす」ことが目安として定められている

との説明があった。

このことについては、既に先の記事に挙げている。

 

さて、この特別支援学級で受ける教科についての話の後、担任の先生より、次年度に向けて、3学期の取り組みについて話したいと言われる。

こちらからも次年度についてご相談したいことがあると事前にお伝えしてあった。

 

「次年度に向けての3学期の取り組み」ということで、担任の先生からは、

・人とのやり取りの仕方

相手に伝わるように話すことができるようになってきた。

 

・自分で決めたことはやろうとする

人に認めてもらう、褒めてもらう、喜んでもらえると頑張れる。

 

・心の安定

自己肯定感が低いところが気になる。ちょっとした失敗や注意を受け入れることができない。していることを邪魔されると感情のコントロールができにくくなる。落ち着かせることを第一に考えてやってみる。

 

・時間を守ることが難しい

やりたいことをやめられない。本人が時計が好きなので、時計を作って視覚的に今何をする時間なのかがわかるようにする。

 

・3学期に重視すること

共感と自己肯定感をまずは重視し、その積み重ねで切り替えができるようにしていく。

 

とのお話がなされたのだった。

 

えーっと・・・、

特別支援学級判定の子どもが通常学級に移ろうとしているのに、そんな程度の策で大丈夫デショウカ?

と思ってしまう。

解決すべき問題はもっとたくさんあるのでは?

そしてもっと具体的な方法の検討が必要なのでは?

いったい今まで、どういう「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」が立てられて、実行されてきたのだろうと思わずにはいられない。

 

 

●学校側への要望①自立活動

担任の先生より、「次年度より通常学級になることを本人に伝えるタイミングをどうするか」と聞いてこられた。

(聞いてはこられたが、次の面談(1月初旬)にて、学校の都合としての告知日程を告げられることになった。だったら、最初からそう言えばいいのにと思う。それとも、無計画に保護者に確認してこられるのだろうか?)

 

私からは、

「4月まで伝えないつもり」と伝えた上で、要望を切り出す。

内容は、次の通りだ。

 

(まそらが大好きな)「自立活動」の時間を段階的に減らしてほしい。

4月に急になくなるとパニックになる可能性が高い。それは親でも想像できないレベルのものである。

「自立活動」がなくなると秋に話した際には、こちらが動揺するくらい本人が動揺していた。私自身、本人にとても残酷なことをしているのではと食事も喉を通らなくなってしまうくらいの動揺ぶりだった。夜も不安を訴えて寝つかなくなった。

新年度、新しい環境で、ざわざわした雰囲気の中に、不安定を極めたまそらが入っていくことになる。ろくな結果にならないと思われる。

 

そこで、

①自立活動に代わる工作の時間を朝に確保

朝、15分ほど早めに登校し、45分間(本人が授業と同じ時間を要望)を確保して、「自立活動」に代わる形で工作をさせたい。

 

②朝の工作時間の安全確保

ハサミを使うので、周りで児童が動き回ると危ない。教室以外の場所で本人が落ち着いて好きに作業できるようにしてほしい。必要な道具類はこちらで用意する。

本人は、朝に工作ができるなら「自立活動」がなくなってもよいと言っているが、実際どうなるかはわからない。

 

③朝の工作の段階的増加と、自立活動の段階的減少

朝の工作は、月曜日以外で週1回から開始。工作の後は、そのまま交流級で授業となるのが新年度を考えると望ましいと思う。なお、朝に工作をした日は「自立活動」を実施しない。

朝の工作の時間は、2週間ごとをメドに2回/週、3回/週と増やしていき、逆に「自立活動」の時間は減らしていく。3月の最後の2〜3週は毎朝、工作に取り組み、その代わり「自立活動」の時間はゼロに。

 

④通常学級で過ごす時間の段階的増加

通常学級で過ごす時間を、例えば2週間ごとをメドに、1日につき1時間ずつ増やしていき、3月の最後の2〜3週間においては、すべての授業を通常学級で受けている状態にしてほしい。

 

以上、先生方に4点の要望をお話しし、

ゆるやかに「自立活動」をフェイドアウトすることにより、「自立活動」がない状態に早めに慣れさせたい

とお伝えした。

 

これを受けて、特別支援教育の責任者先生がおっしゃる。

「本人に提案しながら、現在1時間目に設置されている「自立活動」の時間をずらしていくという方法はどうか?」

 

私からは、

朝、1時間目に「自立活動」をして、満足を得るとその後の授業が頑張れると聞いている。なので、朝に工作をするのがよいかと思ったが、他によい方法があるならそれで構わない

と伝える。

 

すると、責任者先生は、

「まそら君が通常学級に移ることを特別支援学級の児童にも了解を得なければならない。周りの条件を整える。3学期のスタートについては早めに担任より提案させてもらうようにする。」

とおっしゃった。

 

「自立活動」のフェイドアウトの方法については、また後日ということで、ひとまず終了となった。

 

 

●学級側への要望②着替え

「自立活動」の段階的フェイドアウトに続き、その他の要望もお伝えしていく。

 

先生方には、「ずっと学校に任せきりで、反省している・・・」と低姿勢に切り出す。

そして、「自立活動」同様、相談させていただいた専門家の方からのアドバイスを元に、提案の形を取りながら話を進めさせていただく。

 

まずは、行動が遅いことについてだ。

まそらの行動が遅いということは、4月より言われ続けてきた。しかし、それに対し、何か具体的な対応策が取られたかというと、そんな話はまったく聞かないのであった。せいぜい「声がけ」、「手伝う」といった程度だ。

 

先生方には、

「着替えが遅いということだが、体育のある日は、体操服を下に着て登校させてはどうか?エプロンももっと着脱しやすいものを探してみようと思う。便利なものを使ったり、方法を工夫することで少しのことかもしれないがスピードを上げられると思う。行動が遅すぎることが目立たなければ、周りに遅いと印象づけずにすみ、本人の自己肯定感を下げずにすむ。」

とお話させていただく。

 

この点についても、先生方は、「自立活動」のフェイドアウトと同様、「検討する」で終了。

 

先生個人で決定できることの少なさに驚く。こんなことまで、いちいち誰かの了承を得なければならないとは。

学校というところは、重たくて、スピーディーに動けない、つまりは変化しにくい組織であることを知る。

 

 

●学級への要望③立ち歩き

立ち歩きの問題についてだが、私個人としては、授業中にウロウロするのはまったく構わないと思っている。好きにすればいいのだ。他のお子さんのご迷惑にはなるのは気になるが、無理やり座らせて学校が嫌になり、不登校になってしまっては大変だ。学校に、立ち歩きを容認するくらいのおおらかさがあってもいいのにと思うばかりだ。

 

例え、授業を聞かなかったとしても、勉強は学校外でも補うことができる。実際、家庭では、12月より、漢字と算数は2年生の内容を開始している。学校でしか得られないのは「集団」という環境なのだ。

しかし、学校としては、教室で授業を受けることが何よりも大切なことのようであるし、通常学級に移るに際し、ウロウロすることは一番のネックとなるに違いないとは思う。

 

そこで、先生方に要望してみる。

特別支援学級での教科、例えば国語で、10分着席することから開始してはどうか。できたらすぐにトークンシートにシールを貼って、10枚貯れば、まそらのほしい工作グッズがもらえるなどのご褒美を与える。着席時間を10分、20分と少しずつ45分まで増やしていき、できたら褒める。褒められるとやる気が出るとのことだったので、意欲や動機づけになるのでは?国語ができれば、次は算数に広げていく。

10分で終わる学習内容を設定。10分我慢できれば、自由に動ける時間や、プリント配布などの機会を作る。

教室を出ていくならルールを設定。どこになら行ってもよいというのを決める。

次年度に向けて、目標を設定し、例えば2週間ごとなど、こまめに「できた」「できない」を教えてもらえたら、こちらでも何かよい方法がないか考える。

学校では力を入れられないことでも、家庭では取り組めることがあるかもしれない。

多動は、一般的には、年齢が上がると落ち着いてくると言われているようなので、時間が解決してくれることを期待しつつ、それまでをどうしのぐかということになると思う。」

と、発達障害関連の書籍でよく目にする事項をお話した。

 

責任者先生は、

「ご褒美制は、同じ目標に向けて、担任と2人で取り組める。トークンエコノミーと呼ばれるやり方。頑張ることの価値を理解できるようになり、ゆくゆくはご褒美がなくても頑張れるようになる。」

と、返してこられた。

 

トークンエコノミー」についての薄っぺらい説明を今更ご丁寧にしていただく必要はない、と思うが、もちろん口に出したりはしない。

気になるのは、担任の先生が、初めて聞くような顔をされていたことだ。

もしかしてご存知ない?

と思うも、まさかそんなことはいくらなんでもありえないだろうと考えなおす。

 

 

●要望をしてみて

以上、面談では、

・自立活動の段階的なフェイドアウト

・スムーズなフェイドアウトのために、朝、工作に取り組む

・通常学級で過ごす時間の段階的増加

・体育がある日は、体操服を下に着て登校

・エプロンを変更

・着席促進のためにトークンエコノミーを活用する

といったことを要望させていただいた。

 

しかし・・・、

と思う。

そもそも、どうして学校からはこうした具体的な提案や取り組みが出てこないのか?

もしかして、何も考えていないのだろうか?

そして、なぜ、効果的な対策を講じもしないで、「まそらくんは○○ができない」とばかり言うのか?

 

今や、発達障害はさほど特殊な存在ではない。クラスに2人はいるとの情報も目にする。にも関わらず、なぜ、よくある問題行動の改善指導をすることができないのだろう。

そして、不登校者数も過去最多という状況で、なぜ大多数だけを考えた一斉で画一的な指導を続けるのだろうか?多様な児童・生徒が集まる場において、従来通りのやり方を継続するのはもう限界なのではないか。学校という組織は、どうしてこうもガチガチで柔軟さがないのだろうと思う。

もう疑問だらけだ。

 

多様さを認めましょう

個性を伸ばしましょう

なんて、学校が口にしても、もはや虚しく聞こえてしまうのである。

 

このところ、教員向けの「特別支援教育」や「合理的配慮」に関する書籍をよく読むようになった。制度そのものについての書籍も読んだが、具体的な実践例が掲載された書籍もいくつか目を通した。

プロでしょう、と学校に任せていても、何にもならない。

こちらから「やってください」と根拠に基づきお願いしなければ、ただいるだけの特別支援学級になってしまう。

どこでもそうなのか?うちの子どもの学校だけがそうなのか?

貴重な時間。

もっと、他のことに使いたいものだが仕方がない。

 

 

●ご参考までに

文部科学省のサイトより一部引用。

 

資料3:障害種別の学校における「合理的配慮」の観点(案):文部科学省

 (1)-1-1 学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮

 その障害によって、日常生活や学習場面において様々なつまずきや困難が生じることから、小・中学校等の通常の教育課程による教育にとどまらず、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度、習慣を養うことへの配慮を行う。

例:

ADHD

 注意のコントロールや衝動的な行動の抑制などの未発達な能力を向上させるための指導(注意深くものを見る指導、衝動性を抑制するため自分を客観視できるような指導、物品を管理する指導、社会性を高める指導、学習方法の指導など)
 未発達な能力を代替させたりカバーしたりするための指導(メモを書く習慣形成やリマインダーの使用、物品の定位置を決める、記録機器の使用など)
 感覚過敏に対する指導(過敏さの自覚、対処方法など)
 得意な能力を更に向上させ、自信を高めるための指導(好きなことに集中できる時間や場所の確保、数多くアイディアを出せる場やユニークな発想を生かせる場を学習活動の中へ位置付ける など)
 得意な能力によって未発達な能力を補完するための指導(短時間で区切って多様な活動を継続する。全体的に捉えるためのフローチャートを使う など)

 

青太字はrumraisinnによる。

上記の引用は「障害種別の学校における「合理的配慮」の観点(案)」の最初の方で、これ以降、まだまだたくさんの情報が続く。

 

学校には、根拠に基づいた主張をしないと、ただの頭のおかしい身勝手な保護者だと思われてしまう。

 

例えば、

文部科学省が「合理的配慮の観点(案)」にて示しています通り、・・・・・。」

と話を始めれば、学校側はあからさまな否定をすることはできないはずだ。

 

私は、学校での面談の際には、

「障害種別の学校における「合理的配慮」の観点(案)」

をプリントアウトしたものを常に持参するようにしている。

 

 

●朝の工作にと思って購入した教材

いつもお世話になりっぱなしのこばとさん。

特別支援学校への教科書発送が山を越えたと先日ブログに書いておられた。

大変な作業をお疲れ様でした。

 

さて、朝に工作を始めるにあたり、

こばと教材出版さん

「図工編 かんたん工作アイデア集」

を購入させていただいた。

A4サイズの教材を八切り画用紙に拡大コピーして使うというもの。

作るだけでなく、作ったもので遊ぶこともできる。

残念ながら、まだ活用はできていない。

 

その他、「上級編 レベルアップ 対人関係スキルアップレーニングシート」も併せて購入させていただいた。

こちらは、今取り組んでいる教材が終われば始める予定。が、しかし、その前に、「中級編 ジャンプアップ とけい・おかね・カレンダー」のまだやっていない「おかね」の箇所をした方がよいだろうか。

いずれにせよ、来月中には始める予定。子どもの伸びが楽しみだ。

 

ところで、

本当に、こばとさんという方は・・・。

ブログを拝読させていただいていて、子どものために常に全力で、決して労を惜しまれない方だと思う。

教材も使わせていただいたものはどれも素晴らしく、双子も嫌がらずに取り組む。

いや、むしろ、やりたがるのだ。

もう信頼と尊敬しかない。

 

さあ、3月!!

カレンダーはとっくに3月にチェンジしている。

待ちに待った春が来る🌸

 


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