共に走る

我が家には、小学2年生の双子の

兄まひろ(多動傾向)と

弟まそら(ADHD自閉症スペクトラム障害) がいる。

この4月、弟まそらは、特別支援学級判定だったものの、特別支援学級から通常学級に移った。 

 

さて、今回は「合唱」の話。

まそらは、昨年秋より合唱団に入り、毎週練習に通っている。

合唱の先生は、まそらが実際に接する人々の中で、今、私が最も信頼している人だ。

 

教え、育てる

 

これができる方だといつも思う。

「教える」ことができる人は多く存在するが、「育てられる」人は結構少ないと感じている。

まそらが所属する合唱団は、間違いなくまそらによい影響を及ぼしていると思う。

 

私が抱いている合唱団に対するイメージ。。。

子どもたちは、

「花」だ。

 

先生が、1本1本を丁寧に丁寧に育てている。

それぞれが、それぞれの花を美しく咲かせることができるよう、個々に最も適した方法で育てている。

よく見て、水をやり、肥料を与え、日照や温度に気を配り・・・・・

健やかに育つよう、常に常に手を尽くしている。

そんなイメージ。

 

だから、合唱団の子どもたちには花が見える。

まだ咲いていないかもしれないが、これから咲く花が見える。

まそらも同じだ。

「歌を歌う」ことを通して、育てられている。

先生のまっすぐな背中を私は信じている。

信じてついて行けばよいのだ。

 

 

近々、コンサートが予定されている。

合唱団はそのコンサートにコラボ出演することになっている。

 

当初、私は、

うろうろ好き勝手に行動するまそらは出られるはずがない・・・

そう、思っていた。

 

だが、、、

先生は、

「よい経験になる。まそら君が出たいと思うなら・・・。」

とおっしゃってくださった。

驚きでしかない。

ステージ上で何をするか予測不能なまそらに、そんなお声がけをしてくださるとは。

コンサートが成功するか否か。

もちろんそれも大事なことなのであるが、先生はそうした短期的な「成功」だけではなく、長期的な視点での子どもたちの「成長」も重視しておられるのだと知る。

ただただ頭が下がる。

 

が、しかし、そうは言っても、問題行動には許容範囲がある。

先生より、リハーサルに来て、(出られそうかどうか)本人の様子を見てほしいと打診された。

なので、リハーサル当日、まそらの練習に付き添う。

まずは普段通りの練習からスタート。

多少、ごそごそ動いたりする姿も見られたが、なんとか参加している。

練習が終わると、コンサート会場に移動し、出演者の方々とのリハーサルが始まる。

まずは、プロの演奏を聴く。

まそらの表情がぐっと引き締まる。

初めて見る楽器や、その音にひきつけられているのが、はた目にもよくわかる。

彼の頭に、新しい情報が大量に流れ込み、その情報を脳が集中して処理している・・・そんな表情をしていた。

この日、彼の脳には、確実に何かが新たに蓄積されたはずだ。

それだけで、「ああ、この場にいられてよかった」と思う。

 

プロの演奏が終了すると、いよいよステージに上り、合唱のリハーサルが始まる。

ちゃんとやれるかひたすらハラハラする。

全身に力が入る。

そぐわない行動をすれば本番に出演させることはできない。

 

ギューッと自分自身が縮んでしまいそうに感じながら、ステージ上のまそらを見守る。

まそらは、

まず、その場に立っている。

そして、マスクで分かりにくいがどうやら歌っている。

いつの間に歌詞を覚えたのか・・・?と少々驚く。

彼の記憶力は低いのか高いのか・・・。

 

多少、ごそごそと動く。

ギリギリな感じだ。

それでも、信じられないレベルでちゃんとやっている。

おそらく、通常学級に移籍したことにより、周囲と同じ行動をとることが身についてきているのだと思う。

 

ああ、彼も走ってきたんだな・・・

と涙ぐんでしまう。

私ひとりで頑張って走っている気になっていたが、彼も私の横で一緒に走っていたのだな。

常に適切だったかはわからない。

栄養療法に、ピアノに、数字カードに、点描写やお話の記憶、位置の記憶、キャッチボール、スマホ禁止・・・・・

意味のない、そして、無駄でしかない取り組みも中にはあった(ある)かもしれない。

それでも、彼はそうしたひとつひとつに着実に取り組み、ここまできたのだ。

知的な遅れを気にしていた彼はもうどこにもいない。

 

臨界期とされる8歳はもう目前。

あと1歩だ。

彼は、ちゃんと伸びてきた。

8歳を過ぎた後、改善のペースは緩やかに下降していくかもしれない。

でも、土台はきっと形成されている。

後は、その土台の上に、努力と工夫を積み重ねていけば、きっと多くをカバーしていける。

「なんとかなるのでは?」

そう思えるところまできた。

 

ありがとう、まそら。

頑張っていたのは私だけではなかった。

彼がここまで一緒に走ってくれたことに、ただただ感謝したい。

そして、彼の成長に力をかしてくださった多くの方々に改めて感謝したい。

 

コンサート。

「よかったです。よく頑張っていました。大丈夫。」

先生にそう言っていただき、まそらの出演は決定した。

もしかしたら、本番でとんでもない大失態をしでかすかもしれない。

でもそれは、周囲には迷惑でしかないかもしれないが、彼にとっては経験であり、成長の糧となることだろう。

失敗を恐れず、先生の大きな心に乗っかって、当日を楽しみに待つ。

 

いつも思う。

出会いは宝物。

先生に出会えてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

★視覚的記憶教材(rumraisinn作)を下記サイトにて販売中

rumraisinn.booth.pm

1冊、130円で、無料サンプルも用意。

メルカリ同様、匿名での購入が可能。

 

 


f:id:rumraisinn:20220717064824j:image