我が家には、小学1年生の双子弟、まそらがいる。
彼は、ADHD+自閉症スペクトラム障害で、
現在、特別支援学級の情緒級に籍を置いている。
先の記事である、
「特別支援学級から通常学級に向けて①~学校に要望する~」
において、以下のことを小学校側に要望したと記した。
・自立活動の段階的なフェイドアウト
・スムーズなフェイドアウトのために、朝、工作に取り組む
・通常学級で過ごす時間の段階的増加
・体育がある日は、体操服を下に着て登校
・エプロンを変更
・着席促進のためにトークンエコノミーを活用する
本記事では、この要望の結果について記す。
さて、1月初旬に面談が組まれた。
次年度に向けて、3学期をどのように過ごしていくかを話し合うというのが本面談の趣旨であり、12月末に行われた面談にて要望させていただいたことについての回答を得る。
出席者は、特別支援学級の情緒級の担任の先生と、知的級の先生と私である。今回、特別支援教育の責任者先生は都合が悪いとのことで、知的級の先生の同席となった。
それでは、要望の結果について、以下に順に記していく。
●小学校に要望をしてみた結果
要望①自立活動
1.自立活動に代わる工作の時間を朝に確保
【私の要望】
朝、15分ほど早めに登校し、45分間(本人が授業と同じ時間を要望)を確保して、「自立活動」に代わる形で工作をさせたい。
【小学校側からの回答】
朝早めに登校し、「工作」に取り組むのは、学校として対応できない。
通常通りの時間に登校して、朝の休み時間中に「工作」に取り組むのは構わない。
【回答を受けて】
普段よりたった15分早い登校が、「合理的配慮」でいうところのいわゆる「過度の負担」になろうとは思いもしなかった。この時間、バス通学の児童は登校している。にもかかわらず、なぜまそらの登校が認められないのか理解に苦しむ。謎でしかない。
2.朝の工作時間の安全確保
【私の要望】
朝の工作においては、ハサミを使うので、周りで児童が動き回ると危ない。教室以外の場所で本人が落ち着いて好きに作業できるようにしてほしい。必要な道具類はこちらで用意する。
【小学校側からの回答】
教室で取り組むこととする。
【回答を受けて】
何か起こらなければ対応してもらえないようだ。5年生からの暴力への対応もなおざりなので当然か。
通常学級の近くにある空き教室の使用可否を訊ねたところ、使えないことはないが、その場合、5年生の暴力男児が来る可能性があるとのことだった。
3.朝の工作の段階的増加と、自立活動の段階的減少
【私の要望】
朝の工作を、月曜日以外で週1回から開始。
朝に工作をした日は「自立活動」を実施しない。
朝の工作の時間は、2週間ごとをメドに2回/週、3回/週と増やしていき、逆に「自立活動」の時間は減らしていく。
3月の最後の2〜3週は毎朝、工作に取り組み、その代わり「自立活動」の時間はゼロにしてほしい。
【小学校側からの回答】
早く登校しての「工作」は認めない。通常の登校時間に登校して取り組むこと。
「自立活動」は次のように段階的に減らしていく。
・週初めの曜日の1時間目に「自立活動」の授業を設定。
・木曜日は5時間目に設定し、1時間目以外でも問題が生じないかを確認。
・金曜日は「身体づくり」の授業を行い、「自立活動」の授業は実施しない。
・「自立活動」がない日を徐々に増やす。
1月は、週に2日実施なしとし、
2月は、第1週と第2週は、週に2日実施なしで、 第3週と第4週は、週に3日実施なし。
3月は、実施なしを目指す。
*先生より提案
朝、自宅にて「工作」を行ってから8時20分頃に登校してはどうか。
【回答を受けて】
まそらは、つまらない小学校生活を、「自立活動」で好きな「工作」ができることを拠り所にして我慢している。家で「工作」をしたところで「自立活動」の代わりにはならないはずだ。授業時間数をただ減らされていくだけでは、まそらにはストレスにしかならないと思う。
4.通常学級で過ごす時間の段階的増加
【私の要望】
通常学級で過ごす時間を、例えば2週間ごとをメドに、1日につき1時間ずつ増やしていき、3月の最後の2〜3週間においては、すべての授業を通常学級で受けている状態にしてほしい。
【小学校側からの回答】
本面談では触れられず。
要望②着替え対策
1.体育がある日は、体操服を下に着て登校させたい
【小学校側からの回答】
体操服を下に着て登校してかまわない。
2.エプロンを着脱しやすいものに変更したい
補足説明:小学校で使用するエプロンは指定があるわけではないが、購入店舗が定められており、結局みんな同じエプロンを着用することになる。割烹着タイプのエプロンで、まずは両袖を通し、後ろをマジックテープでとめる作りとなっている。これを上から被ればいいだけのスモッグタイプに変更したいと要望した。
【小学校側からの回答】
上から被るスモッグタイプでもかまわない。
【回答を受けて】
どうして、学校からこうした工夫・提案がなされないのかと思う。
要望③立ち歩き対策
【私の要望】
着席促進のためにトークンエコノミーを活用する。
【小学校側からの回答】
活用する。
【回答を受けて】
「体操服」や「エプロン」と同様に、どうして、学校からこうした工夫・提案がなされないのかと思う。
トークンエコノミーは一番先に取り組みを検討しそうなものだが、保護者に言われて、しかも3学期になってようやく実施するとは・・・。そんなに手間なことなのだろうか。。。
さて、ここまでが、12月末に行われた面談にて、学校側に要望したことについての結果である。
次に、1月初旬に行われた面談にて、新たに要望・提案させていただいた事項について記す。
●新たな要望と提案
今回の提案①トークンシートの案
トークンエコノミーだが、こちらから効果が見込めそうなものを提案した方が無駄がないのではないかと思い、シートの案を提示させていただいた。
何日もかけてシールを集めるよりも、結果が早く出る方が本人の意欲を引き出しやすいのではと考えたため1日完結型のシートを提案。
【提案したトークンシート】
「●」はシールを表す。
【提案の結果】
使用されず。
普通に、何日もかけてシールを集めるタイプのシートを使用することになった。
今回の提案➁切り替えカード
小学校側からは、「切り替え」ができないとずっと言われてきた。
「工作」などが時間になってもやめられないことへの対策として、カードを提案させていただく。まそらは自分で決めたことは守ろうとするらしいので、完成しなかった場合にどうするかを、本人にあらかじめ決めさせておくとよいと考えたことによる。
【提案した切り替えカード】
*本人が希望する方法に「〇」をつけて使用。
【提案の結果】
使用されず。
今回の提案③教室を出て行く際のカード
次年度、授業中に教室から出て行くことは確実だと思われるため、あらかじめルールを設定しておいた方がよいと考える。
具体例は提示しなかったが、カードを用意し、
行く場所(トイレ、保健室、図書室など)に丸をし、
何分(3分、5分、10分など)で戻るかに丸をつけてから出て行くようにする
とよいのではと提案。
さらに、その場合、本人には、時計か音の出ないタイマーを持たせたいが可能かと訊ねた。
【小学校側からの回答】
検討する。
1月下旬の面談にて、「お助けカード」を作成してみると言われる。教室を出て行く際には、この「お助けカード」を先生にもらってから出て行くよう指導するとのこと。
どのようなものなのか詳細は不明。
今回の要望①ランドセルにケースを入れて登校させたい
行動が遅いことの工夫のひとつとして、ランドセルにケースを使うことを要望させていただいた。
朝、登校後の諸々の準備は、私がつきっきりでさせている。4月に担任の先生より、そうするように指示されたためである。
ランドセルから教科書・ノート・筆箱を机の引き出しに入れる。
たったこれだけのことに、まそらは結構な時間を要してしまう。
一度ではできないので、何度もランドセルから引き出しへと教科書類を運ぶ作業を繰り返す。途中で落としたり、引き出しに入れようとしていること自体を忘れてしまったりするので、そばで指示を繰り返さなければならない。
なので、教科書類を入れたケースをランドセルに入れて登校し、ケースごと机の引き出しに入れると多少は時間短縮につながるのではないかと思うに至る。下校時も机の引き出しからケースを引き出して、そのままランドセルに入れればよいだけだ。こうした方法が紹介されている書籍もあった。どんなささいなことでも、役に立ちそうなことは試してみようと思い要望するに至る。
【小学校側からの回答】
ランドセルにケースを入れて登校しても構わない。
【実施状況】
ランドセルに入り、かつ、机の引き出しにも入るサイズのケースを100円ショップで購入し、3学期より、活用している。
少しのことだが、楽になったのは確かである。本人もやりやすいようだ。
今回の要望②通級指導教室を利用したい
市の教育委員会より、
・通級指導教室で、週当たり最大8時間「自立活動」を組むことができる。
・しかし、8時間は現実的ではないので、何時間「自立活動」を組むかは、小学校側と相談してほしい。
・通級指導教室の手続きはこれからでも間に合う。
と伝えられた。
手続きはどのようにすればよいのかと訊ねた。
【小学校側からの回答】
「通級指導教室」は、現在、定員ぎりぎりの人数の児童を抱えている。受け入れは困難。担当職員と相談する。
●小学校からの要望
次年度より、通常学級に移ることの本人への「告知」時期について、小学校側より要望があった。
先生によれば、
移籍に際し、2月初旬から中旬に、特別支援学級と通常学級での理解教育を実施したいので、それまでに本人に告知したい
とのこと。
今後のスケジュールとして、
2月中旬から終業式までの間でプレ退級を体験。
具体的には、
・国語や算数を通常学級で受ける。
・通常学級の「朝の会」及び「帰りの会」に参加。
・通常学級で給食を食べ、給食当番も行う。
・3月に、終日、通常学級で過ごす日を設定。
・宿題を通常学級と同じにする。
といったことを説明される。
●要望してみて
小学校側に対しては、何かと要望することが続いている。
いつも思うことは、
「なぜ、小学校側からこうしたことが検討・実行されないのか?」
ということだ。
「まそらくんは、〇〇ができない、□□もできない。」
と言うばかりで、
「改善のため、〇〇に取り組みます」
といった話がなされることは皆無に等しい。
3学期に入り、急にバタバタとトークンエコノミーなどが始められている。それも、保護者に言われて。
特別支援学級というところは、通常学級でやっていく力のない児童が、ただ「いるだけ」の場所なのだろうか。
そして、通常学級でやっていく力のないまそらが通常学級に移ろうとしているのに、「通級指導教室」の受け入れが困難とは?
「合理的配慮」の言葉がただただ虚しい。
●ご参考までに
資料3:障害種別の学校における「合理的配慮」の観点(案):文部科学省
<「合理的配慮」の観点(1)教育内容・方法>
(1)-2-3 認知の特性や身体の動き等に応じた教材の配慮
一人一人の認知特性、身体の動き等に応じた教材の配慮を行う。
例:
衝動性や不注意に配慮した教材(教材選択に当たっては、乱暴に扱っても壊れにくい丈夫なもの、ぶつかってもけがをしにくいものなどが望ましい)
不器用さに配慮した教材(扱いやすい定規やコンパスなど)
(1)-3-2 実施が困難な活動への補助や指導上の配慮
障害の状態により、実施が困難な活動についての活動内容・方法の工夫、指導上の配慮を行う。
例:
物品の管理の補助(整理のための箱や棚の提供、紛失や忘れ物に備えて教材などを貸し出す仕組みを設けるなど)
<「合理的配慮」の観点(2) 支援体制>
(2)-1 専門性のある指導体制の整備
校長がリーダーシップを発揮すると共に、学校全体として専門性の確保に努める。そのため、個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成し、指導についての校内の教職員の共通理解を図り、学習の場面等を考慮した役割分担を行う。必要に応じ、学校内の資源(通級による指導、特別支援学級等)を活用したり、適切な人的配置(支援員等)を行う。
例:
外部専門家(特別支援学校教員、発達障害者支援センター職員、市町村教育委員会の教育相談担当など)からの助言
個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成することでの共通理解
学校内の資源の活用(通級指導教室などの設置と活用)
青太字はrumraisinnによる。
こうした書籍を保護者である私が読んで学校側に提案しなければならないとは・・・。
本来は、先生方が自ら学び、考え、工夫すべきことなのでは?
「プロ」なのデスヨネ?
お金をもらっているのデスヨネ?
私は主婦デスガ、暇人ではアリマセン!
学校は学校としてすべきことをしてクダサイ!
プロならプロとしての仕事をしてクダサイ!
「学校教育法」には、
「障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする」
と記載されてイマスヨ。
ご存知デスカ!!