その昔、
考えても仕方がないことを考えるのはやめなさい
思考をストップさせる訓練をしなさい
と言われたことがある。
これは、今でも、いつも頭のどこかで意識していることだ。
が、それでも考えずにはいられないことが結構ある。
なぜ、うちの双子は発達障害なのか
なぜ、私の子どもなのか
なぜ、生命は他の生命を食べなければ生きていけない残酷な仕組みになっているのか
なぜ、今日、鳥が私の運転する車のフロントガラスに激突し、命を落とさなければならなかったのか
なぜ、・・・・・なのか
考えても仕方がないことだ。
が、「なぜ」は尽きない。
なぜ、我が子は発達障害なのか・・・
妊娠中、双子で栄養が失調したからか・・・
遺伝子が損傷しているからか・・・
我が身に起こることの数々は、起こるべくして起こっているのか、それとも偶然か。
いずれであるにせよ、、、
つかむべきをつかまねばならないと思う。
11月3日、文化の日。
いつも通り、公園で双子を走らせる。
すると、園児の頃にお世話になっていた方が、「偶然」、向こうから歩いて来られたのだ。お会いするのは久々だ。
「どこに行くの〜?」
と聞く双子。
「さくらハーモニー(仮名)の発表があるから、そのお手伝いに。小学生の子たちが、13時からホールで歌うのよ。」
「ふーん。」
ではではと言って別れる。
その後、興味を示す双子弟、まそら。
彼はよく鼻歌を歌っている。
登校時などは、毎朝何かを口ずさんでいるのだ。
園児の頃は、好きなことを伸ばしてやりたいと、ヤマハ音楽教室の体験レッスンに連れて行ったこともある。
見学させてもらったクラスでは、ピアノと歌のレッスンが行われていたが、本人はひどく退屈そうにしており、入会には至らなかった。
そして、そのまま、月日は流れ、この日、さくらハーモニーの話が。
それまで、私は小学生の合唱団があるなんて知らなかった。
まそらが興味を示すので、帰宅後、さくらハーモニーの合唱をユーチューブで聞かせてやる(もちろん画面は見せない)。
ますます興味を示すまそら。
ユーチューブを何度も再生するはめになる。
バスケットボールで少々懲り気味の私。
「好きな歌を好きに歌うんじゃないよ。先生が決めた歌を練習するの。先生の指導の通りに歌うんだよ。」
と言ったら、
「上手く歌うのはできない。どうしたらいいの?」
と涙ぐむではないか。
バスケでもよく言っているのだが、
「下手なのはいいの。誰も1年生の1番小さい子が上手にできるなんて思ってないよ。やろうと頑張ることが大事なの。できないって言ってやらなかったら、できるようになることなんて何もないよ。」
と話す。
そして、その後、1時間経っても、2時間経っても、「さくらハーモニー」のことばかりを気にしているまそら。
私の中の名もないアンテナがピンと立つ。
「見に行きたいの?」
とまそらに聞く。
彼は黙ってうなずいた。
時計を見ると13時をとっくに過ぎていた。
昼ご飯も食べずに、寝てしまっていた(ふて寝)兄まひろを起こしに行かせる。
そして、「もう終わっているかもしれないよ」と言いながらホールに向かう。
ロビーで名前を書いていると、子どもの合唱の声が・・・。急いで入り口に向かう。
ステージでは、20人ほどの小学生が歌っていた。が、最後の曲の最後の方であり、10秒、20秒ほどで終わってしまった。
しかし、ここで、がっくりして引き下がってはイケナイのだ。
客席を見回す。
きっといらっしゃるだろうと今朝の知人を探す。
すると、自分たちとは反対側の入り口近くに立っておられた。
よし!
子どもたちのお世話がおありかとは思ったが、がめつく声をかけさせていただく。
「まそらが興味を持ったみたいで・・・」
そこから話は一気に進む。
指導されている先生につないでくださり、そのまま反省会にもお邪魔させていただき、次の練習を見学させていただけることになった。
合唱を始めるとして、問題は、もう土日のスケジュールがギュウギュウ詰めになってしまうことだ。バスケの試合が入ってくるともうどうにもならない。
が、とにかくやるのだ。
始めてしまえばきっとなんとかなる。
ならないか。
わからない。
でも、キャッチするのだ。
我が子の可能性を広げる「偶然」のチャンス。
これは本当に「偶然」だろうか?
このタイミングで知人にあったのは、ただの「偶然」だろうか?
ひらひらと「合唱」を始める機会がまそらに舞い降りてきたのは、「偶然」だろうか?
さくらハーモニーは申し込み窓口を設けていないとのこと。人づてにしか入団の道はないらしい。
この日、もし、私たちがホールまで聞きに行かなければ、そして知人(連絡先は知らない)に声をかけなければ、後に自力で入団にたどり着くことはできなかったのだ。
「偶然」だろうか?
「必然」なのでは?
考えても、わからない。
偶然でも必然でも、いずれにせよ、しっかりキャッチするのだ。
2度とは訪れないかもしれない機会。
ぎゅっとつかむ。
逃してはならないと思う。