お月見の時期は、当然ながら、「月見団子」の話題をよく耳にするようになる。
子どもたちも、園にて、地域のお年寄りの方々とお団子作りをして食べるという行事があった。
あぁ、私も(自分で作って)食べたい・・・
と思う。
しかし、お団子を作るための時間を、そう簡単には捻出することができない。
スーパーの「団子粉」や「白玉粉」、「もち粉」などのコーナーの前に、しばし立ち尽くすも、結局、買わずにお店を後にする日が続いた。
しかし、、、どうしても、どうしても食べたい・・・。
数日の後、意を決して「団子粉」を購入した。
そして、そんなある日のこと。
子どもたちを園に迎えに行く前に、珍しく30分程の余裕ができた。いつもなら、ギリギリまで料理などをしており、走って車に乗り込むくらいバタバタしている。なので、この日生じた「余裕」は、大げさだが「奇跡的」なものだった。
お団子は、30分で作れるだろうか?
ざっくりと、粉をこねるのに10分、丸めるのに10分、茹でるのに10分。
きな粉は、帰宅後に。。。
できるかな?
いや、何かと手間取って無理なのでは・・・?
と思いながらも、考えている時間がもったいない。とにかくトライすることにする。
「団子粉」の袋の裏面を見ながら、作り始めた。案の定、手間取る。
お団子作りは、随分久しぶりだった。いつもあまりおいしく作れないので、ついつい敬遠してしまっていた。
団子粉に、水を少しずつ加えてこねる。
耳たぶくらいの固さと言われても、私にはよくわからない。
袋の裏面には、こねたら、棒状にして、同じ大きさに切り分けるとあったが、こねた団子粉はとても柔らかく、不器用な私は棒状にすることができない。
何度かやってみて、潔く断念。なにせ、時間がない。
適当に、取り分けて丸めるが、丸め終わった時点で、もう30分が経過し、お迎えに出かける時間となっていた。
自分の不器用さに辟易しつつ、ラップをかけて、冷蔵庫ヘ。きっと生地の質が低下するだろうなと何となく思う。
子どもたちと帰宅後、食事の用意をし、食べさせつつ、お団子作りの続きをする。
冷蔵庫から取り出すと、やはり表面が乾燥しかけていた。
お湯を沸かし、中央に大胆にくぼみをつけたお団子を投入。浮いてくるのを待つ。浮いてきたら、1分程茹でて、冷水に取った。
ざるに上げて、次いで、きな粉作り。
きな粉に花見糖と塩を混ぜて味見。OK!と思ったところで、お団子と合わせる。
そして、1つ食べてみる。
やっぱり、食感に何か不満が残る出来となる。こねてから茹でるまで、時間をあけてしまったからだろうか・・・?
他にも理由はありそうだが、明確な答えは見つからない。
しかし、そんなことは知る由もない子どもたち。きな粉の匂いに素早く反応を示す。特に、きな粉好きな双子弟、まそらの目がキラリと光った。
「食べたい、食べたい、食べたい!」
と見に来る。
しめしめ。内心、ほくそ笑む。
「ご飯をはやく食べ終わったらね~」
と、お団子をエサにして、食事を急かす。彼らの食事はいつも異様なまでに時間がかかるのだ。
2人がそこそこ頑張って夕食を食べ終わったところで、お団子をテーブルに運ぶ。
兄、まひろの場合。
とにかく慎重だ。私から、「よく噛んで飲み込まないと喉に詰まる」と注意を受け、ひたすら噛む。そして、口を開けて、いちいち聞いてくる。
「飲み込んで大丈夫?」
「大丈夫だよ~」
と私。
そして、このやり取りは、その後、何度となく繰り返され、まひろのお団子はなかなか減らないのだった。
一方、弟、まそらの場合。
彼は、きな粉が大好きだ。驚くくらい、次々と食べる。
「もう1個ちょうだい、もう1個・・・」
と何個でも食べる。
そして・・・。
結果として、食事の終了時間はいつもより大幅に遅くなり、就寝時間も結局遅くなってしまった。
あぁ、どうしてこう上手くいかないのだろう・・・。
子どもたちが寝静まった後、念願のお団子をいただきながら、しみじみ、しみじみ思う。
人生ってヤツは・・・、なかなかお団子のようには丸く収まってくれないのだ。
そして、この日も「はあ~」と、長いため息をついて、ようやくの終わりとなった。