双子の病院受診。1人で2人を連れて出かけるということは・・・。

我が家には、4歳になる双子がいる。
1人でこの双子たちを連れて、病院を受診できるようになったのは3歳の頃からだ。そもそも、受診どころか、1人で2人を連れて出ること自体それまでできなかった。

 

 

1人で、双子を連れての病院受診は大変
子どもたちがまだ歩けない頃、病院受診は、夫に仕事を休んでもらうか、夫の仕事終わりに、ぎりぎりの時間で受付をすませるかだった。

歩けるようになると、それぞれが好き勝手に動き回るので、それはそれで、私1人ではとても対応できない。

 

 

●試練が訪れる
そんな折、かかりつけの病院で、いつものように「明日も受診してください」と言われる。しかし、どうにも、夫の仕事の都合がつかなかった。
「私1人では、受診できない」と看護師さんに伝えると、「とにかく連れて来てください。連れて来てもらったら、後はこちらが対応します。」と言われた。

なんて親切な病院なのだろうと思う。
本当に、医師も、看護師さんも、薬剤師さんも・・・、素晴らしい病院なのだ。

 

 

●初めて、1人で双子を連れて病院受診
お言葉に甘えて、初めて、1人で2人を連れて家を出た。
最初の関門は、駐車場から病院入り口までだ。全身に力が入り、こわばる。

なにせ、2人は、
「電柱が見たい。」
とか、
「雨樋が見たい。」
などと言い、あちこち行きたがって、すんなりとは病院に向かってくれないのだ。

無事に病院の入り口までの道を、2人を連れて歩ききれるだろうかと緊張する。

 

 

●駐車場から病院まで、双子兄に頼る
双子兄、まひろは、弟、まそら(自閉症スペクトラム)より、意思の疎通がしやすかった。なので、「まひろ、頼んだよ!」と心から思ったし、実際、声にも出していた。

駐車場で、まずは多少は言うことを聞くまひろを車から降ろす。「動いちゃダメ!」と、制止しておいてから、まそらを降ろす。
そして、どこかに走って行かないように、2人の手をしっかりと握る。

なんとか病院にたどり着いても、まったく気は休まらない。
着いたら着いたで、子どもたちは好き勝手に動き回る。バラバラに動く子どもたちを制御するのは本当に骨が折れる。

診察までの長い時間をじっと耐え、診察が終わっても薬の処方(この病院は、子どもについては院内処方)をじっと待つ。
帰宅後は、今でもどっと疲労が襲ってくる。

 

 

●受診による私のストレス
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人が何かに感染すると、大抵、もう1人も時間差で発症する。子どもが体調を崩すと、12週間くらいは毎日受診しなければならなくなるのが常だ。
日々、時間を取られ、やりたいことができず、ひどいストレスを感じるし、世話や通院で疲弊もする。
そうすると、防御反応なのか何なのか、過食になる。異様に食欲が増すのだ。
しかし、通院で、いくら疲れているとはいえ、普段以上にカロリーを消費しているわけではない。なので、当然体重が増える。これが、また2次的なストレスとなる。

 

 

1人で双子を連れての外出は可能か?
子どもたちは、出産前には、予想もしなかったレベルで、頻繁に体調を崩す。
私が仕事をしていなかったので、子どもたちは3歳になるまで園に入らず、平日は、家から1歩も出ずに育った。彼らの体力や免疫力のなさは、そうしたことが影響しているのかもしれない。

しかしながら、
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人を1人で連れて出られたか?
あるいは、就労できたか?
というと、不可能だったと今でも思う。
安全の確保の面でも、時間的な面でも、私自身の体力の面でも・・・。

今でも、受診以外で、1人で2人を連れて出ることは滅多にない。基本的に、園の送り迎えだけだ。

 

 

●夫の言葉
夫は言う。
「世間の母親は、みんな、子どもを兄弟で連れて、買物とかしてるよ。それが普通でしょ。あなたはどうしてできないの?」

この言葉、私はきっと一生覚えているだろう。
「あなたならできるの?できないくせに・・・。」
夫から責められる度に思った。

夫だって、1人で2人を連れて出るなんてできないのだ。せいぜい、車に乗せてドライブし、マクドナルドのドライブスルーで何か買ってくるくらいだ。

以前、夫が1人で、2人を連れて出た際には、双子兄、まひろが、水路に落ち、ヘドロまみれになるという事件が起きた。夫は、まひろを抱きかかえて帰宅し、シャワーで全身の泥を落としてから、怪我を診てもらうため病院へと連れて出て行った。

その後、弟、まそらの相手をしつつ、ヘドロまみれになったバスルームやまひろの服、靴などを1人で洗って後片付けをしたのは私だ。

まひろを水路から引き上げている間、まそら(自閉症スペクトラム)が道路に放置されていたのかと思うとゾッとする。道路に飛び出し、車にひかれていたかもしれない。

にもかかわらず・・・、
「父親」にはできないことでも、「母親」ならたやすくできるとでも思っているのだろうか?
言うだけの人間は楽でいい。

 

 

●専門病院での医師の言葉
今年の4月、専門病院での診察時、担当の医師がおっしゃる。
「お母さん、1人で、2人を連れて出るなんて大変です。ご主人に同行してもらうとか、とにかく協力体制を整えて下さい。」

その時、私は、
「ああ、そんな気遣いある言葉をかけてくれる人がいるんだ・・・」
とボンヤリ思った。

保健師さんも、優しい言葉はかけてくれた。
「いつでも相談して下さい。」

ても、「今日の今の困った」を助けてくれるわけでは決してない。

夫が同行できないとき、病院に付き添ってくれる?
私が病気のときに、子どもの世話をしてくれる?

あり得ない話だ。
日々の世話において、「困った!」となったとき、誰かの助けを借りられるなどということは、まずない。あてにできる人など1人もいないのだ。どんなに辛くても自力で解決しなければならない。この重みときたら・・・。本当に、ずっしりとのしかかってくる。シングルの人の大変さは、もう想像することすらできない。

 

 

1人で、双子を連れて出るということは
私には、1人で2人を連れて外出するというのは、今のところ不可能だ。
園と、かかりつけの病院にだけ、どうにか連れて出かける。
大きな病院になると、もう無理だ。広い院内を2人がバラバラに走り回るのは目に見えている。すぐに、どちらかを、あるいは両方を見失い、どこで何をしているのかわからなくなるだろう。

確かに、1人で複数の子どもを連れて外出している「お母さん」はそこら中で見かける。きっと普通のことなのだろう。

しかし、私には「神業」にしか見えないのだ。