我が家には、発達障害の4歳の双子がいる。
今週の双子弟、まそらの「リハビリ(ST)」と「療育」の様子は下記の通りだ。
●双子弟、まそらのリハビリ「言語聴覚療法(ST)」(約40分間)
☆机上課題
・挨拶
「こんにちは。」
「よろしくお願いします。」
・会話
先生が、まそらに質問する。
「お名前は?」
「何歳ですか?」
「男の子ですか?女の子ですか?」
「お天気はどうでしたか?」
「朝ご飯は何を食べましたか?」
今回、いつもは苦戦する「男の子ですか?」にきちんと答える。
更に、いつも適当に答える「朝ご飯」の質問も概ね正しく答えることができた。
・「マグネットボード」でお絵かき
全面をひたすら黒く塗りつぶして喜ぶ。
先生から、顔を描くよう指示が出され、先生と一緒に、先生の顔を描く。
描き終わると、先生が顔のパーツ(目、口、鼻、耳、髪)を「目はどれ?」などと確認。
どうやら、口を2つ描いたようだ。
次いで、私の顔を描く。こちらはパーツの数を正しく描くことができた。
更に、先生が、ご自身の「手」をボードに置き、周囲をなぞって手形を描く。まそらも同様に取り組み、手形を描く。
・積み木(1辺が3cmほどの立方体)を用いて「数」の確認
先生は、カードを用いての取り組みを予定されていたようだが、まそらが嫌がったため、積み木に変更となった。 積み木も、まそらは積み上げて遊びたがり、先生の指示を聞かない。何度も言われてようやく取り組みを開始した。
先生とまそらが順にサイコロを振り、出た目の数だけ積み木を取る。積み木を多く集めた方が勝ち。
例
先生がサイコロを振る。サイコロの目は3。
先生が積み木を3個取る。
次に、まそらがサイコロを振る。サイコロの目は5。
先生が、目の数を「1、2、3・・・」と確認。
まそらは、積み木を5個取る。
また、先生がサイコロを振る。
上記の作業を積み木がなくなるまで繰り返す。
積み木がなくなったら、それぞれが取った積み木の数を確認。
積み木が入っていたケースに、お互いの積み木を、「1」、「2」と数えながら入れていく。
最終的に、どちらがより多くの積み木を集めたのか確認するための作業だったが、まそらは「3」の段階で、複数の積み木を一気にケースに入れてしまい、そのまま終了となった。
最後に、まそらがやりたがっていた積み木の積み上げをする。
先生と順番に積み木を1個ずつ積み上げて、2回目で20個ほど積み上げることができた。
・挨拶
「ありがとうございました。」
「さようなら。」
■リハビリ(言語聴覚療法)を終えて
今回は、まそらの「やりたくない」感が強く、何を取り組ませるにも苦戦する感じだった。「難しい」ことをやらされるという認識が、まそらの中ですっかり定着してしまったようだ。
先生より、 「何度も繰り返し言うと伝わるようです。無視することを覚えてしまっていて、無視しても何とかなると思っているようです。無視してもどうにもならないことを理解させるようにするとよいでしょう。」 と言われる。
まそらに無視をされるのは、日常的なことだ。何を話しても大抵のことはスルーされる。聞いているのか、聞いていないのかもよくわからない。
例えば、「靴を脱いで」と1回言っても、行動に移すことはまずない。どんなに少なくても5回は言っていると思う。一事が万事そうなので、時に、言っているこちらも疲れるし、イライラしてくる。
何度も言わなくても伝わるようになれば、随分楽になるだろうとは思う。しかし、それはいったいいつの日のことになるのだろう?
それでも思う。
人と目を合わせて話せるようになったり、自分から話しかけてくるようになったり・・・、コミュニケーション力において、彼は彼なりに進歩している。
私に背中を向けた状態で、誰もいない方向に向かって口だけ開けて、食べ物を入れてもらうのを待っていた頃を思えば、驚くばかりの改善ぶりだ。
まそらの「無視」も、彼が日々経験を積んでいく中で、いずれ時間が解決してくれるものと信じたい。楽観的すぎだろうか?
●双子弟、まそらの療育
☆机上課題(約20分間)
・袋の中の物当て
①先生が、袋に入った9つのおもちゃを1つずつ出しながら、まそらに名前を確認。
<袋に入っているおもちゃ>
コップ・スプーン・フォーク・包丁・クマ・車・ボール・ハサミ・メガネ
②確認が終わると、先生が机上に3つのおもちゃを出して、まそらに見せる。その内の1つをまそらに見えないように袋に入れる。
③まそらに、袋の中に手を入れさせて、入っているおもちゃが何か当てさせる。
④ ①~③を5回ほどしたら、今度は、先生がおもちゃをまそらに1つも見せずに1つ袋に入れる。
⑤まそらに、袋の中に手を入れさせて、入っているおもちゃが何か当てさせる。
⑥ ⑤を3回ほどしたら、今度は、袋におもちゃを2つ入れて、まそらに何が入っているのかを当てさせる。
・「数」の確認
A5サイズの紙に、上から順に、「1」と「アンパンマンの顔が1つ」と、「正方形の枠が1つ」が描かれている。
まそらは、「正方形の枠」の中に、「アンパンマンの顔」と同じ数だけシールを貼る。
この取り組みを「3」、「アンパンマンの顔が3つ」と、「正方形の枠が3つ」の用紙まで行う。
・絵カードによる「動詞」の確認
①先生が、机上にカードを3枚並べる。
<絵カード>
ウサギが縄跳びをしている絵
イヌが頭を拭いている絵
パンダが花束を落としている絵
②先生が、まそらに「<飛ぶ>はどれ?」と質問し、まそらは「ウサギが縄跳びをしている絵」が描かれたカードを選ぶ。
③先生が1枚カードを追加し、同様にして「拭く」、「着る」、「落とす」、「乗る」の絵が描かれたカードがどれかまそらに質問する。合わせて、
「何を拭いてる?」
「何を着てる?」
「落としたらどうしよう?」
などの質問も実施。
④机上に並べるカードの枚数4枚に増やし、「持つ」の絵が描かれたカードがどれかまそらに質問する。合わせて、
「何を持ってる?」
といった質問も実施。
☆粗大運動(約50分間)
・トランポリン
ジャンプしながら、おもちゃのバスケットゴールにボールを投げ入れる。
・ボールプール
トランポリンから、ジャンプして飛び込む。ボールに埋もれて遊ぶ。半球の形状をした遊具の面の上に乗り、ボールの中で動かしてもらう。
・ポニースゥイング
吊り下げ遊具。乗りながら、前方の台に置かれたペットボトルにボールを投げて倒す。
・フロッグスゥイング
吊り下げ遊具。胸の辺りで乗り、動きながら、積み重ねた3個~4個の箱を蹴って倒す。
・吊りタイヤ
吊り下げ遊具。直径1メートルほどのタイヤにまたがって乗る。
・マットの滑り台
座って滑り降りる。駆け下りたり、駆け上ったりする。
・釣り
大きさや形の異なる足場を円形に並べ、足場以外を水に見立てる。足場からは降りないようにして、クリップのついた様々な絵(魚・タコ・リンゴ・イチゴ・カレーライス・柿・・・)を、釣り竿(紐の先端に磁石がついている)で釣る。
・長さ30cmほどのトンネル3つと、高さ15㎝ほどのバー3本
トンネルは身をかがめて通り抜け、バーは両足でジャンプして飛び越える。
・キューブ(歩く面積は1個当たり20㎠ほど)を並べて作った道
上を歩き、途中、段ボールで作った「バイキンマン」の口の中に、ボールを投げ入れる。
・ジャンプ
120㎝位の高さから、マットの上に飛び降りる。
・ローラーボード
腹ばいで乗って、床を移動する。
■療育を終えて
今回、「釣り」が印象に残った。「釣り竿で釣りをすること」と、「足場から落ちないようにすること」の2つを両立させるのは、なかなか困難な様子だった。まそらは、「タコ」などの絵を釣ろうとしては、頻繁に足場から落ちていた。2つのことに同時に意識を向けるのは、4歳の彼にはまだ難しく、それ故に「脳」をしっかり使っているはずだ。「釣り」は「挑戦」の要素を持っており、とてもよい取り組みだと感じた。